『小さなSF?鑑』のこと
もう数年前になってしまったが、高井信さんが葉書による同人誌『SFハガジン』というのを始めるので、よかったら参加しませんかとのお誘いをくださった。 ショートショートを書く、ということであるなら原則お引き受けすることにしている。 ...
リデビュー小説賞の凶悪さ
講談社がリデビュー小説賞というのを始めたらしい。募集要項を見に行って、不快さに眉をひそめた。 なんだこれは、である。 要するに、一度は本を出したことがある人間のみを対象とした、新人賞なのだ。参加資格のみを制限してはいるが、中身は、つまり参加したことで得られるメリット...
出版のことを考えてみる
出版について考えてみよう。 出版というビジネスは、なんだかひどくいびつで、一般の社会常識では誤解されることが多いように思う。そのため、ツイッターなどでもおかしな話が飛び出して、状況に乗ってしまっている人をいらつかせるのだ。 ...
販売開始した『魔法物語』のこと
魔法物語というタイトルで、かつて作品を発表したことがある。これを、書き直して再発表することにした。 最初に発表した頃、国産ファンタジーはあまり書かれていなかった。いや、私自身ほとんど書いたことなどなかったし、それどころか大して読んでもいなかった。 ...
本格ミステリ大賞2017への投票
本格ミステリ大賞の投票をするため、今年も候補作を購入して読むことにしたわけだ。 評論については、評論という枠組み自体に懐疑的なこともあり、そもそもそれを評価することなどできそうにないので最初から棄権するわけだが、小説の方は、なにしろ本格ミステリ作家クラブに入会するという...
書店は出版の夢を見る
なんでもTSUTAYAが徳間書店を買収したとかいう。出版業界の変化、みたいな文脈で語られるようになるだろう。 けれどこの話を、私はちょっと違う角度からの感慨をもって受け止めた。それというのも昔なじみの作家、太田忠司がつい最近、この二社の協調によってデビュー作であるところ...
『ひゃくぶんのひゃく』のこと
二〇一一年は東日本大震災のあった年、ということになるのだろう。個人的にもあれこれ災厄のある年だった。 そんな年の始まりに、なにをどう思ったのか「ショートショートを書こう」と思ったのだ。たぶん。今なら書けるという感触と、遠からず書けなくなる、という危機感が背中を押した決断...
書籍流通のことなど
電子書籍が徐々に一般的になっており、単に(なにかしらを)読みたいだけのニーズには応じられるようになりつつあるようだ。すでに膨大な量の書籍が電子化されている、ということである(ただし、なんでもかんでもではない。読み切れないほどたくさんある、というだけだ)。 ...
本格ミステリと現実感覚
本格ミステリには「解決」が必要だ。 これは「謎」(不可能状況。起こらないはずのなにかが起こっている)という非現実が、(なるほどこれなら可能であろうという)現実に回帰する状況、およびその描写のことであろう。 だが、回帰するという「現実」はいかに規定されるのだろう。その...
ショートショートのメソッド
ショートショートが好きだ。とりわけ書くのが好きなのだ。読むのは、まあ、好みが激しく厳しいところがあるので、必ずしも好きだとは言い難いのだけれど。 さて、そんなショートショートだが、このところ一時の冬の時代を超えてちょっとだけにぎやかになってきた気がする。 ...